祝福の継承
彼は言った、「主人アブラハムの神、主よ、どうか、きょう、わたしにしあわせを授け、主人アブラハムに恵みを施してください。<創世記24:12>
主人アブラハムに信頼されているしもべは、<創15:2>に出てくるエリエゼルだ。彼はアブラハムの相続人と予定されていたほどの人物であったようだ。イサクの嫁選びはこのしもべに託された。
人間的にもアブラハムのすべての財産を任されるほどであるから今で言う「出来る男」であったのだろうか。
しかし何より素晴らしいのはこの祈りだと思う。「・・・私を省みて主人アブラハムと共に、神の慈しみを示していただけるように(私訳)」。そして祈りは実現し、しもべはナホルの子ベトエルの娘リベカに出会い彼女をイサクのもとにつれて帰ることができた。
アブラハムは年が進んで老人となった。主はすべての事にアブラハムを恵まれた。<創世記24:1>
アブラハムは老人となったというように過去形で書かれている。確かに年老いてしまっていたのであろう。といっても、アブラハムはこの先35年も生きてもう一人の妻をめとり6人の息子を得ている(創25:1)から、なんとも元気だ!
しかし年老いたアブラハムには人生の総括ともいえる仕事が残っていた。しもべに託したイサクの嫁選びである。
何度も言うがこのような大事なことを頼まれたのだからこのしもべは凄い人物である。また任せることの出来るアブラハムも素晴らしい。互いに完全に信仰による神を通しての信頼関係があって、しもべは、祝福をもたらしてくださるアブラハムの神へ祈らずにはいられなかったのだろう。
彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人と一緒に行きますか」。彼女は言った、「行きます」。<創世記24:58>
アブラハムの信仰、次いでしもべの信仰。最後にイサクのもとへ行くことをきっぱりと決断したリベカの信仰。
「私は行く(エレフ)」という短い言葉がこの節の最後にある。そして、神の祝福はイサクとリベカへと続いていくのである。
今はわたしたちのもとにある同じ神の祝福が、イエス・キリストを通してさらに信じるものへと続いていく。聖書は広大な時空を越えて迫ってくる神からのプレゼントだ。【釘宮孝枝】